Story
時は2016年、FOXニュースで働く3人の女性が、
それぞれの嵐を起こそうとしていた─。
人気・実力ともにFOXニュースのトップに君臨するキャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、共和党の大統領候補が有権者にアピールする討論会の進行係を務める。ちょうどこの頃、アメリカ全土は候補の一人であるトランプに振り回されていた。メーガンは容赦なくトランプの女性蔑視発言を追及するが、激怒したトランプが、この日から執拗にメーガンへの罵詈雑言をツイートするようになる。
朝のニュースの顔として活躍してきたが、2年前に昼の番組に降格されたベテランキャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)は、なぜ冷遇されたのかわかっていた。CEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)から迫られた性的関係を拒絶したのだ。ロジャーをセクハラで告訴すると決意したグレッチェンは、相談した弁護士から「TV界で最も力のある男が、全力であなたを追い詰めに来ますよ」と警告されるが、こんなことが許されてはいけないと、固い信念を告げるのだった。
スターキャスターを目指す、野心にあふれたケイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)は、グレッチェンの下で働いていたが、彼女に内緒で副社長にお願いし、局で最高視聴率を誇るビル・オライリーの番組に抜擢される。だが、喜びも束の間、いきなり初日からビルに否定されてしまう。
世間の予想に反して、トランプの支持は拡大し、FOXニュースにはメーガンへの膨大な数の抗議メールが届くようになる。命の危険さえ感じたメーガンは、ロジャーに守ってほしいと頼むが、視聴者は対立を好むものだと一掃されてしまう。
一方、出世を諦めないケイラは、秘書に取り入ってロジャーへの直談判の機会を勝ち取る。「あなたの放送局のスターに」と懸命に売り込むケイラへのロジャーの返事は、「服を持ち上げ、脚を見せろ」だった。必死に平静を装いながら要求に応えたケイラは、さらに忠誠心をどう証明するかよく考えておけと命じられる。
2016年5月、嵐は大きく風向きを変える。
メーガンは、1年続いたトランプとの闘いを、ようやく終えようとしていた。お互いの利益のために、メーガンがトランプをインタビューし、トランプが「すまん」と軽くひと言謝ることで、手を打つことになったのだ。一方グレッチェンは、突然、クビを言い渡される。すぐに弁護士に電話をかけ、「戦う覚悟は?」と聞かれると、「もちろん、できてるわ」と即答するのだった。ケイラはその頃、ロジャーの秘書からの内線で彼の部屋へ呼ばれていた。
7月6日、世界に衝撃が駆け巡る。
グレッチェンが、ロジャーをセクハラで訴えたのだ。いち早くニュースを目にしたメーガンとケイラは、激しく動揺する。特にメーガンは、自身が上り詰めるまでの過程を振り返り、ザワつく心を周囲に気付かれぬよう押し殺していた。
激怒したロジャーは、全面否認すると共に、あらゆる手を使って反撃に出る。局内は荒れ狂うボスに従い、グレッチェンに続く女性は出てこないと思われていた。しかし、彼がFOXニュースを創設する前にセクハラを受けたという女性が6人も現れ、風向きが変わる。遂に女たちの逆転劇が始まる!果たしてメーガンとケイラも、胸に秘めた真実を告白するのか─?
時は2017年、31歳になったセレステ(ナタリー・ポートマン)は、一度は頂点を極めたスターダムから転落していた。何かと世間を騒がせる言動に走り、スキャンダルで炎上し、アルコールに溺れていたのだ。だが、歌への情熱だけは失くしていない。何とか復活を遂げようと、1年間をかけて自身の集大成かつ最高となるツアーを企画。ところが、その初日を前にして思わぬニュースが入る。クロアチアのビーチで銃乱射事件が起こり、犯人全員がセレステの大ヒット曲「ホログラム」のMVで使ったシルバーのマスクを着用していたというのだ。
バッシングを避けるために、記者会見を開くことになるが、事件のトラウマが押し寄せナーバスになるセレステ。そこへ、娘のアルビー(ラフィー・キャシディ※少女時代のセレステと二役)が、子育てを任せてきたエリーに連れられて訪ねてくる。セレステは、ストレスをエリーにぶつけ、些細なことで姉を罵倒する。傷ついたエリーは、涙ながらに「今度、私を脅したら、子育ても曲作りも私がしたって暴露する」と訴えるが、セレステは「何を暴いても誰も気にしない時代よ」と平然と言いのけるのだった。
記者会見の席で、何度か危ない発言に流れそうになるが、何とかマネージャーが用意した無難な声明を暗唱するセレステ。だが、個別の取材で、今回のツアーは、数年前に危険運転で相手に重傷を負わせて逮捕されたことからの復活かと問われ、我を失ってしまう。
コンサート会場に到着すると、緊張と恐怖、メディアへの怒りなど様々な感情が爆発してパニックを起こすセレステ。だが、遂にショーが幕を開けると、満員の観客はもちろん、セレステに人生を奪われたエリーさえも興奮と歓喜に包まれる圧倒的なパフォーマンスが始まる─。